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左肘痛

  • 30代 男性

症状

1週間前よりゴルフをしている際に左肘に痛みが出てくる。日常ではあまり痛みを感じることはないが、球を打つときに痛みが出る。

推察

まず痛みを感じる部位を探ると、外側上顆に出ることが判明した。また、内側にも時たま感じることはあるそうだが、外側に集中していることがわかった。

前腕の伸展や回外の動作が痛めた原因として疑われたので、そのような動作をしていないか尋ねるとグリップをストロングからウィークに変えたそうだ。ゴルフではクラブの握り方をグリップといい、ストロングとは覆い被さるように握ることで、ウィークとは覆い被さりを減らした握り方のことで、その握り方次第で球を打つ瞬間の手首や前腕の動きが微妙に変わってくる。そのことが今回は痛めた原因だろうと推測できた。

そして、除外診断として頚椎関連だけはしておきたいので、頚部の動作で痺れの誘発などがないかだけ確認して所見は診られなかったので今回は左肘の軽度の外側上顆炎として治療を行うことにした。

触診

  • 左側臥位

脊柱腰背診

カダ穴
  • C:4、5、6、7 
  • T:3、4、5 
膀胱経2行線
  • 膈関、神堂、附分

頚診

胸鎖乳突筋2、3、4

患部

  • 支正、下小海、小海、四瀆、上四瀆、上廉、手三里、曲池、肘髎、尺沢、下尺沢

治療

上脳戸

  • 全てのカダ穴、膈関の圧痛消失。

左京門

  • 神堂、附分の圧痛消失。
  • SCM#2、3の圧痛消失。

ここで前腕の圧痛を触診して複数経絡に残っていた。

左完骨

  • SCM#4の圧痛消失。
  • 患部の圧痛が全て消失。

そのまま肘と頚部を温熱しながら約15分置鍼。

置鍼後、肘を回外や伸展など様々な動作で痛みが出ないか確認し、それらが消失しているため終了。

考察

今回のケースは臨床上、よく診られる痛みの疾患の一部だった。

肘の痛みをアキュゾーンで診る上では、まず患部の圧痛はどこにあるのかを探り出さなければならない。圧痛を明確にしたら次にその圧痛が何経になるのかを判別する。判別したらその経絡上にどの範囲まで圧痛が出ているのかを探る。それで患部関連の触診は十分だ。

そうしたら次に行う作業として、患部関連の圧痛がどの五大評価と結びついているかを考えていく(問診段階で姿勢を決定しているので、この段階で既に目星は付いているはず。ただ、イレギュラーなことや想定外の所に圧痛があったりした場合は、姿勢を変えることも考慮する)。

今回の肘でいえば、頚椎と胸椎の1、3、5、7、T3〜7レベルの膀胱経2行線、SCM#4の関連が強く、特にSCM#4は最もしっかりと圧痛を除去しなければならない部分だ。上記で判断したことを念頭に治療に入る。

上脳戸でカダ穴の圧痛を取り切り、京門などで背部や頚部の圧痛を大まかに取る。2穴取穴した段階ではSCM#4と上肢以外の圧痛は取れている状況が望ましい(内臓に出ていたならば3穴)。

そしてすぐに完骨に行かずに、上肢の圧痛を確認して1つの経絡上のみの圧痛であれば太陽、2つ以上の経絡上に圧痛があれば完骨の選択になる。ここの段階ですぐに完骨を取穴する人が多いが、もう一つ太陽という選択も考えておくと良いだろう。ここまででほぼ圧痛が取れて改善するはずだが、もし完骨や太陽を取穴しても上肢の圧痛が1〜2点だけ残るならばその圧痛の経絡のアシストポイントを使えば全て取り切れる(SCM#4を取っても圧痛が3点以上残る場合はSCM#4が取れていないので再度やり直す)。

治療の段階で常に2つ以上の選択を考えなさいと中野先生はよく言われるが、それを実行していると目的圧痛の取穴をしても圧痛が取れなかった時はすぐに次の策に移行でき、手詰まりになることはないので柔軟に考えることがかなり大切だ。

  • この記事を書いた人

島田正寿

2014年に寿鍼灸院を開業。以来、鍼灸専門で様々な疾患を持つ患者さんを治療している。また、寿鍼灸院での臨床の他、学校教員やスポーツ現場でも活動中。師匠はアキュゾーンセラピーを築き上げた中野雅章先生。

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