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治療の総合力とは

技術と知識は治療を行うにあたり、どちらも同じレベルで必要になります。 

この同じレベルというのは、どちらか一方が飛び抜けていても、どちらかがそのレベルに追いついていなければならないということです。

その理由としては、治療の総合力というものは技術や知識の低い方のレベルでしか能力が発揮できないためです。

例えば知識が10あり、技術が5だとしましょう。この条件では治療の総合力は5です。6にも7にも、足して割って7.5という訳にもいきません。

いくらこの条件ではこういうことが考えられるから、ここを改善させれば大丈夫だと思っていたとしても、それを実行できる技術がなければ知識が使いこなせません。

反対に知識が5で、技術が10ならば、こちらも治療の総合力は5です。この場合はアキュゾーンにおいて言えば、いくら触診や取穴の技術があったとしてもどの場合にはどこを重点として診なければならないか、ということが分かっていなければ的を得た触診を行うことができずに、本当に改善させるべき圧痛を見落としている可能性があるためです。

以上のことをもう少し具体例を交えて言うならば、例えば頭痛の患者さんの治療を例にとってみましょう。

知識5、技術10の場合

頭痛ということは、どの内臓が関連しているのか、あるいは脊柱の歪みなどがないか、など多方面から原因を探っていくことになりますが、それらの知識がなければ"頭痛=頚椎の邪骨"という基本的な考えしかなければ邪骨の圧痛を取ることを最優先と捉えて伏臥位ならばL5カダや申脈、照海、太衝、公孫など頚椎の邪骨の圧痛を取るだけの取穴になることでしょう。

ただし、技術があるので圧痛を処置することはできます。しかし、圧痛を取り除いたところで根本原因が分かっていなければ、いずれまた同じように症状が繰り返されて根本解決には至りません。

知識10、技術5の場合

頭痛ということで頭痛の性質から頭痛の種別を判断し、そこから考えられる他の要因を考えて、例えばそれが偏頭痛で偏頭痛のトリガーは頚椎の邪骨で、頚椎の邪骨が僧帽筋の右の2番にあるということは、それが生成される原因として肝が考えられるため肝の症状が出ていたとすれば、肝の疎泄機能の失調により普段よりイライラや鬱積で肝気鬱結状態にあり、それらが何かの要因で悪化すると肝火が盛んになり肝火上炎になり頭痛が出てくる、さらに生理痛がひどく血虚、気虚があり、それらの要因も相まって目の霞みや倦怠感が起こっているので、肝機能を改善させて気虚、血虚に関しては十全大補湯や補中益気湯などで補うと考えていたとします。

では治療で実際にそれらを取り除きましょう、となったとしても肝の反応点の触診や鼠径靭帯の触診などが正確に出来なければ圧痛を検出させることはできませんし、圧痛を出せたとしてもそれを取り除けるような例えば太衝や帯脈などの取穴が出来なければ改善させることはできません。

まとめ

以上の理由より、治療の総合力は知識、技術のレベルの低い方に合わせられるということになります。

知識は勉強すれば徐々に身についていきますので、勉強さえすれば徐々にレベルアップしていくでしょう。

技術においては、臨床の数が最も物を言うため、色々な患者さんを治療していくことで身についていきます。当然、技術は一長一短で身につく物ではありませんので、辛抱強く諦めずにコツコツと続けていくこと他ありません。簡単に出来てしまうような技術であればその程度の技術なので、現場ではあまり使い物になりません。本当に現場で必要な技術は何年もかけて熟成されていくような気がしています。

あとはセミナーや研修に参加すれば知識は身につくし、技術系のものであれば技術も身に付きます。

ただ、何よりも日々の臨床以上に勉強になるものはありません。鍼灸師になりたての頃は当然ながらあまり治療をする機会に恵まれないと思いますが、それでも少ない中でも多くの物を得られるように治療にあたれば少しずつ治療する機会を与えてもらえるようになりますので、そのようにして一歩ずつ経験を積んでいくことが大切です。

今現在、活躍されている先生方も最初はゼロからのスタートです。そのような先生方とそこまで伸びていかない人の違いは、細かなことは置いておくとして結局は"続けている"ということだけです。続けるから例え少しでも進んでいくのです。進んでいく上で停滞することはもちろんありますが、それでも続けていれば少しでも進んでいます。その道理を無視してすぐに上を目指しても不可能です。また、諦めてもそこで歩は止まります。

この記事を書いている私自身も途中は色々なことがありましたし、これからもあると思います。でもそれが道理としては普通です。それを頭ではなく体で理解できれば治療をする意味や意義も感じられるようになっていくと思います。

最後に、当会や私自身の経験がアキュゾーンを真剣に取り組んでいる先生方の少しでもプラスになることが出来るならば嬉しく思いますし、中野先生にもお返しが出来ると思います。アキュゾーンはやればやる程に難しく、いつも目標が遠くに感じますがそれでもめげずに積み上げて行ければ一段階ずつ、違う景色になります。ちなみに、中野先生はこれを30年以上実行されています。私も、そして皆さんも継続して進んでいきましょう。

  • この記事を書いた人

島田正寿

2014年に寿鍼灸院を開業。以来、鍼灸専門で様々な疾患を持つ患者さんを治療している。また、寿鍼灸院での臨床の他、学校教員やスポーツ現場でも活動中。師匠はアキュゾーンセラピーを築き上げた中野雅章先生。

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